型紙・フロントの湾曲

今回、型紙作成にあたり、ビンテージの雰囲気は再現しながらも、そのままのコピーはしていません。

その雰囲気の再現を考えて、まず気付いたのが、ビンテージのカバーオール、それも20-30年代ごろのものに見られたフロントの湾曲でした。

ほんのわずかの事なのですが、洋服として置いてあっても、実際に人間が着ていても、独特の丸みをもった立体的な雰囲気がどこから出てくるのか不思議だったのですが、その一端がこのフロントの湾曲にあるように思います。

実際、PAYDAY、BIGMACとJ.C.Penney系(おそらく、グローブ社製造系)を調べてみましたが、いずれも湾曲が見られ、単なる個体差や、裁断が下手だったといった理由よりは、何か、意図や意味があっての設計である可能性が高いと思われます。

そこで考えたのが、1920-30年代と言えば、まだぎりぎり、移民大国アメリカでヨーロッパの服作り、いわゆるテーラーの服作りが残っていたのではないか・・・という推測です。

そこで、取り出したのが1900年代初頭の、いわゆるカッター本。メンズのジャケットからワークウェアまで、型紙のひき方を解説した本です。

二つ例をあげてみました。ひとつはいわゆるテーラードジャケットの原型。

もうひとつはペインターズコート、アメリカでいえばショップコートのようなものでしょうか。

 

やはりいずれもフロントが倒れ、肩先も大きく倒れています。

一説には、男性の胸の張り出しを立体的に見せるために、このようなゆとりが生まれ、場合によっては顎のあたりから、胸の頂点に向かってダーツが取られたりもしていたようです。

おそらく、そんなヨーロッパの服、テーラーの服作りのなごりがまだほんのわずか、ワークウェアの型紙をひいていた人にも残っていたため、1920-30年代のカバーオールには1950年代以降の、より直線的なカバーオールとは違う、独特の丸い雰囲気を感じるのではないでしょうか。

 

ということで、今回の型紙の前身頃は1.5センチほど、ウェスト部分から首元に向かって倒しを入れてみました。

はたして、この工夫がどのような結果をもたらしているかは、ボディに着せてみた写真でご確認ください。

実際、自分で着て、鏡で見てみても、独特の丸みがあるシルエットはビンテージと同じとはいかなくとも、今までにない雰囲気をかもし出していると思います。

 

型紙・袖の太さ/袖ぐりのカーブ/袖ぐりの縫製仕様の関係

 

今回、袖ぐりには折り伏せた上で、チェーンステッチを走る始末をしています。

この仕様を採用するにいたった原因を説明しようと思います。

まずは、そもそも巻きぬいとは、左の図解のように、お互い生地を巻き込みながら、おもにチェーンステッチの二本、もしくは三本針で縫製したものをここではさします。

その高い生産性から、ビンテージワークウェアでは多様されていましたが、元来、曲線を縫うのは不得意です。

また、縫製後は縫い代が全く見えないため、洗ってみると、パンクと呼ばれる巻き込みが足らない部分の断ち切りが見えてしまう場合があります。

実際に、そのパンクが起きているのが左の写真です。ビンテージではなく、とある現行メーカーの今回と同じく、ラグランスリーブのカバーオールです。

もともとワークウェアの世界では「パンクしても三本縫ってるから品質に問題はない!」という基準で作られていたのでしょうが、はたしてこれが、現代の品質基準に足るものか・・・と言えば、今回の私の作る製品に関しては無しです。

やはり、買って洗って、いきなりこうなったら悲しいですよね。

 

次に、シルエット、型紙の曲線の問題です。

ビンテージでは、そもそものシルエットをゆるくとり、型紙のカーブをゆるくするという工夫がなされています。

左に、シャツの袖で一例をあげています。

袖ぐり寸法が同寸とすれば、袖が太くなればなるほど、袖山の高さは低くなり、袖山カーブも緩くなっていきます。(実線)

逆に、袖を細くするとなると、寸法をかせぐためには、上へ上へと曲線は上がっていき、結果カーブがきつくなります。(点線)

今回のカバーオールでも同じ問題が起きていて、やはり、ビンテージそのままよりもいくらかは、袖を細くしているため、ラグラン袖の底部分のカーブはきつくなっています。

 

 

そこで、通常の巻きぬいに比べると手間はかかるのですが、左の図解のような折り伏せ縫いを今回は採用しました。

@片側の生地をアイロン


A逆側の生地を挟み込み地縫い(このとき、最初の生地のキワぎりぎりを縫います)これにより、生地がずれることがなくなります。


B生地を起こして巻き縫いミシンに通し、ラッパを使わずにステッチ

と工程は3倍になってしまいますが、やはりそこは、現代に通ずる品質、シルエットを今回は求めたため、この折り伏せ縫いを採用しました。

 

ただ、いつかはビンテージそっくりのパンクが起きようとそれはワークウェアだからOK、シルエットもたっぷりとという製品も企画してみたい、という気持ちもあります。

あくまで、どちらが正しくて、正しくない、品質が高い、低いというよりは、企画の性格の問題であるともいえると思います。

 

 

 

How to make them?
レイルロードジャケットのできるまで

 

Lineup-ラインナップ
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Lot 620 10oz denim Lot 630 Pinstripe

 


Detail-各部詳細

     

 

 

The Looks.
ボディに着せてみたシルエット

 

 

 


 

Workers