前ポケット始末

続いて前身頃。

まずは、ポケットの袋布、向こう布です。

右ポケットは、向こうのを利用してコインポケットを作ります。

そのため、向こう布のさらに向こう布。ミニ向こう布をあらかじめはりつけます。

向こう布本体は、ポケット口になる部分を折りダブルステッチをかけておきます。

まずは、向こう布を袋布に取りつけます。

ここも2本針平ミシンです。

向こう布の下端があえて折らずに断ち切りなのにも注目です。

ここも後々の巻き縫いのための厚み軽減です。

次に、向こう布の真ん中に横にステッチを入れます。

これが、コインポケットの底になります。

ひとまず二つに折ったところ。

これで、ポケットになるのが想像できると思います。

身頃を取り出し、ポケット口を三巻し、そこに袋布の端を流し込みます。

ジーンズであれば、地縫い・返してステッチが多いのですが、ワークパンツではこちらの三巻流し込みが多い始末です。

ここもダブルステッチ。

手前側、ここも後の巻き縫いがあるので、縫い代を削ぐように角が作ってあります。

ポケットを広げてみたところ。
ポケットの底を地縫いします。
ひっくり返して、軽くアイロンで形を整え・・・

またダブルステッチ。

このように、どこもかしこもダブルステッチです。

縫い終わりました。しっかりと、袋布の底が始末されています。

某社のジーンズとは違う、カクカクとした袋布の形です。

ここに当て布をつける仕様もあるのですが、厚すぎると夏に着たく無くなってしまうので、オミットしました。

最後に、ポケット口を所定の位置に借り止めします。
 

 

前身フロント始末

あらかじめホールを開け、ロックをヒヨクにかけておきます。

身頃が特徴的で、フロントにヒヨクの見返しになる部分が反転してついています。

ボタンフライのビンテージのワークパンツを持っていたら確認してみてください。

この独特な始末が見られるかもしれません。

Leeの古いジーンズなどでは、ここに別布を使って見返しにしたり、Levisではそもそも三つ折りで見返しが無かったりと、各社それぞれの始末に注目するのも面白いです。

まずは、その見返し部分を折ります。

小股部分の切りカマは入れても、入れなくてもよいのですが、後々の地縫いをしっかり入れたいため、あえて入れています。

 

ボタンホールの間をステッチで止めます。

表には貫通しないように、見返しだけの状態にもう一度開いています。

これを、もう一度折って、裏からステッチをかけたのが左の写真です。
裏から見ると、このような状態です。

次に、右下前側。

こちらも小股部分に切りカマを入れ、縫い代が自由に倒せるにしています。

 

持ち出しの表を地縫いして・・・

ひっくり返す前に軽く地縫いを入れます。

昔は入れなかったでしょうし、ここの始末も汚いものが多いです。

が、そこは21世紀、昔のワークウェアそのままを作っているわけではありません。

一工夫して、すっきり仕上げます。

アイロンを使って軽く整えて・・・
余計な部分は切ってしまいます。
持ち出しを止めるステッチを上から打って行きます。

小股部分は、通称「偽巻き」と呼ばれる、それぞれ、縫い代を折り込み、裁ち端が見えないようにする始末をします。

まず、第一段階で、下側になる右下前の小股の端を折って、仮止めします。

下前の処理が終わりました。
すでに完成した左上前も出してきて・・・
お互いの小股を地縫いします。
その地縫いを開いて、今度は表からステッチをかけます。

ということで、前身頃の完成です。

小股は押さえステッチが万が一切れても、まだ地縫いのステッチが残っています。

もし、押さえステッチが切れた時は重ね縫いをしてください。

地縫いですぐには壊れないので、修理も簡単です。

 

前後ろ縫い合わせ
今までの工程で完成した、前・後ろ身頃を用意します。

毎度おなじみ、ユニオンスペシャルの358、巻き縫いミシンです。

今回は5/16インチ幅の針幅。

この針幅はいろいろありますが、基本的に、厚い生地ほど広い幅を、薄い生地ほど狭い幅を使うというルールがあります。

ワークウェア、カバーオールやワークパンツは当時としては厚い生地が使われていたため、広い幅の巻き縫いが使われていたケースが多かったようです。

そこで、5/16インチを使うとなったわけです。

まずは調子布を巻いてみています。

手前に見えるラッパを使いながら、左右から生地を差し込み、互いにかみ合わせながら縫っていきます。

手の具合一つの世界、縫製の中でも一番難しい行程なので、本番とできるだけ同じ状態を作り出し、テストを繰り返しから本番に入ります。

まずは、脇側を巻きました。

尻ぐりから巻いても良いのですが、まっ平らな方が、脇のいろいろついている部分を気を使いながら巻くには巻きやすいのです。

これが難所その1。脇の三巻部分が非常に硬くなります。

縫い代をそいだり、広幅のミシンを使ったりと工夫はしますが、糸が切れる時もあります。

その時は、糸をここからつなぎます。

これは、もう、綿糸を使ったワークウェアの宿命であり、避けられない部分であるとご理解ください。

次は、尻ぐりを巻き・・・

最後に内またを巻きます。

ここもカーブが続き難所です。

型紙が巻き縫いに適していないとそもそも縫えません。

このように、巻き縫いを使おうとすると、型紙・シルエットから考えていかないと製品になりません。

 

帯付け

帯付けの前にあらかじめループを仮止めします。

 

帯付けミシン登場です。

今回は、上下、2枚別々の布を使い、2本針で一気に縫っていくという始末です。

針は4本まで入るミシンですが、左右それぞれ一番端側に入っています。

この針の間が1.5インチ、約3.8センチほど。

それに伴い、帯自体の出来上がりはそれぞれ2ミリを足して4.2センチ上がり。

このように、ワークウェアはデザインではなく縫製仕様、ミシンの仕様によって各部寸法が決まっていきます。

これが、結果として我々が見たときに「ワークウェアらしいな」と感じる部分の一つです。

Workersでは、このような「方法の再現による雰囲気の再現」に力を入れています。

美しいラッパです。

真鍮製。

上下、別々の生地を入れ込みつつ、左から入れた身頃が入りすぎないように真ん中のパーツでガードします。

このように、左から身頃を差し込み縫っていきます。

今回は、帯を先に長めに作っておいて、身頃を差し込み、後で、その長めの部分を二つに折って最後の帯始末をしています。

 

以上、おおまかですが、パンツ一本完成までの工程でした。

後は、帯始末、カンドメ、裾始末をすれば完成です。

 

 

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