Trousers, Cotton Sateen生地

まずは、MIL-SPECの入手から。

今回、参考にするMIL-T-838D

これに一番近いスペックと言う事で、MIL-T-838HとLを入手しました。

838DはMARCH 1958の表記があり、今回使った838Hは17 March 1967。10年近くの開きはありますが、製品のイラスト、作り方を見たところ、実物とほぼ同じと判断して、このスペックを参考にしていきます。

そもそも、838Dを絶対探せと言われると、探せないというのもあるのですが・・・

それこそ、ボタン、縫い糸、芯糸、梱包方法まで、それぞれの参照するスペックが列挙してあります。

正直、すべてを見てはいません。

生地・ボタン・糸はそれぞれのスペックもしくは代替スペック(より新しい年代で、古いスペックをカバーするもの)を参照して、出来る限り近い物、もしくは要求されるスペックをクリアできそうなものを選んでいます。

要求されるスペックは、引き裂き強度など、これまたテストの方法までスペック指定されていたりします。これを、すべてクリアしてます!とは言えません。ある意味、軍需産業は強烈な分業化があってこそ成り立っています。

余談ですが、私がバッグの金具を購入する問屋さんは自衛隊用の製品を作る工場にも卸しているそうで、そうなると当然、要求されるスペックがあり、テストも当然決まった方法で行われるそうです。

「これこれのスペックに合ったこの大きさのナスカン」などと注文すれば、それが出てくる訳です。

まずは、生地と言う事で、MIL-C-10296を探します。

これも、MIL-C-10296J、改定がだいぶ進んだスペックです。

ただ、コットンサテンである事には変わりないので、これを部分的に参考にします。

生地の重さおよび、1インチ当たりの糸の本数、引き裂き強度です。

今回、参考にしたオリジナルが8.5オンスなので、若干打ちこみ本数を減らして、オンスを合わせていきます。

おそらく、MIL-T-838D当時は8.5オンス、それが後に9オンスに若干バージョンアップしていったのか、はたまたオンスの測り方にポイントがあるのか、この辺りは良くわかりません。

サテンの糸の交差具合(組織)が模式図で描かれています。

こういったスペックと、実物をほぐして見ながら、出来る限りの再現を試みます。

で、出来上がったのがこの生地。

以下、生地屋さんから生地の紹介です。

 

タテ14番/ヨコ8番 カード糸

MIl-C-10296Jの3.2.1にThe yarn shall be made from cotton that has been carded, drawn and spun into single yarn.とあるので、カード糸単糸を使っています。

現代ではさらに、短い繊維を取り除く「コーマ糸」というさらに一手間かけたものもありますが、そこはあえて、カード糸を選びました。

染めは硫化染めです。3.3.1に、The use of dyes or substances containing elementary sulfur compounds...とある事、またある程度洗った後の堅牢度があえて悪い硫化染めを選んでいます。

現在では単価の問題もあり、硫化染めには前処理で マーセライズ加工(シルケット加工)はしていないのですが、MIL-C-10296Jにマーセライズ加工するとありましたので、行っています。

染色性がよくなり品質が安定しますが、その分、割高な生地です。

全体として、コストをかけても色・コストを安定させようとする意図を感じるスペックでした。

現代の、「見た目がそれ風であれば、多少工程を省いてでもコストの中に収める」というファッション的な生地とは企画の意図が違います。

と言う事で、出来上がりが左のアップ。

色味こそ若干違いますが

表面の風合いは良く似ています。

 

分解・型紙作成

まずは、オリジナルの分解から。

分解しながらも、各部の縫製具合を確認・記録していきます。

これは、開きどまりより下、小股の部分。
地縫いが無く、押さえステッチのみで始末されています。

分解したオリジナル。これをトレースして型紙を取ります。

一度も水が通っていないデッドストックなので、多少の歪みはあると思いますが、ほぼ、当時の型紙そのままがトレースできています。

これは、後ろ身頃の先っぽ。直角に型紙が作られているのがわかります。

生地の巻きこみ具合も一定でとても綺麗。縫製も上手い事がわかります。

腰回り。2本のステッチの距離がほとんど変わらない事がわかります。

詳しくは

こちら

にて、縫製方法による型紙の制約を紹介しています。

ベーカーパンツの型紙です。
よく「股上を浅く、シルエットをタイト目にアレンジ」などという文章を見ますが、何をどうしたのか、本当に知ってもらいたくて途中工程の型紙をアップします。

ブルーがオリジナル、赤が今回、私なりにアレンジしている型紙です。

型紙の作り方もいろいろあります。「原型」と呼ばれる、パンツならパンツ、シャツならシャツの元型を作って、それにデザインを乗せ換えていく方法。
たとえば、ジーンズも、軍パンも、同じ原型で作れば、ほぼ同じシルエットが作れます。サイズもいつもMなら同じ寸法、同じ履き心地、着心地ができる。

ただ、自分はこれができなくて、やはりジーンズならジーンズ、軍パンなら軍パンの雰囲気、履き心地がほしい。そのため、まず参考にするオリジナルのパターンをできる限り忠実にコピーし、そこからアレンジをしていきます。
「らしさ」のちゃんと残ったアレンジをという事です。

今回の型紙の特徴は、脇線の倒れ具合です。耳付きのジーンズ型だと、ここがまっすぐになるのですが、今回のベーカーは軍パンらしいゆったりシルエットなので、ここが倒れているのです。

そして、アレンジの内容は
@股上を浅く
Aヒップ・ワタリ・膝・裾をもう少しコンパクトに

@はウェストラインを下げるという作業がメインです。下げつつ、つながりの良いラインに修正していきます
次に、ウェストラインを下げるだけでは移動しきれなかった股上を、今度は、脇線/尻繰り線/前身頃クロッチを移動。
この脇・尻・前身頃クロッチが動くとAの作業も同時に始まります。

言葉で書くと、こんな感じですが、実際には自分の欲しい寸法と画面上の寸法をにらめっこしながらラインを何度も引きます。
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How to make?


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