Ring Belt, Brown

品名 Ring Belt, Brown
素材

イタリア・ワルピエ社製・皮革名エトルスコ

厚さ・幅 革厚さ3ミリ・幅37ミリ
附属

アメリカ製真鍮リング

価格 12000円(税・配送料込)
サイズ

表記32・実寸73-82センチ
表記36・実寸83-92センチ
表記40・実寸93-102センチ

一番短い寸法で剣先をギリギリまで絞った状態
一番長い寸法で剣先でちょうど革の裏面が隠れるぐらいの位置で(剣先の真ん中あたり)折り返した状態です。

リング部分での締め具合で若干の誤差が出る事はご容赦ください。
硬すぎない革なので、使っているうちにリングで押される部分がやわらかくなり若干伸びます。最初から、完全に革の裏が隠れるような寸法を選ぶと後で、革が伸びて締まりが不足します。

イタリア製・ワルピエ社製の革を使ったリングベルト。

硬すぎず、やわらかすぎず。渋なめし=硬いと思われがちですが、製造工程で油を加え、革をもみこんでいるので手に入れた時からしなやかです。

その分、もみこんだ際の皺(シボとも呼びます)の出具合に差があります。上の写真でいえば、向かって左はシボが弱く、右側はシボが強く出ています。

雄の牛のショルダー、肩の部分をなめしています。

もともと4ミリほどの厚みがある革をあえて3ミリに漉き、裏面は床面処理(毛羽立ちを少なくする)を行っています。ただ、顔料を塗りたくる処理では無いので、ある程度は毛羽が出ます。これは革の特性でもあるので、ご容赦ください。

 

ベルトの裏面には焼き印で「LEATHER GOODS K&T H MADE IN JAPAN」と、革の原産国、LEATHER MADE IN ITALYと入れています。

すべて、手作業で入れているので位置・焼け具合にはバラつきがあります。

 

リングとコバの仕上げ具合が良くわかる写真。ベルトと言えば、コバの仕上げ具合がポイントです。正解・不正解はありませんが、私が今回目指したのは

「磨いてはいるのだけど顔料がベタっと塗られているのではない、はがれおちづらいコバ仕上げ」です。

具体的には、裁断機で革をベルトの幅なりにカット。革の裏面のみ豆カンナで落とす。裏のみ落とした理由ですが、革を裁断機に入れて、歯が表から当たります。革の表は銀面がある事もあり、繊維が締まり、歯がそちらから落ちる事もあり、すでに軽い、ほんのわずかな丸みは出ています。ただ、裏は歯が最終的に通り抜けている事、銀面よりは繊維に締まりが無い事もあり、そのままだと角が鋭角に成ってしまっています。

そこで、裏面を豆カンナでわずかに落とし、それから染料で革の切れ目を補色。その後に、フノリ/蜜蝋+松脂を一度溶かし固めたもので磨いていきます。磨くのも、手で軽く塗り・磨き、さらにバフ機を使って磨いています。

世の中には、今回のコバ磨き以上に綺麗、強いというものはあると思います。最初にも話した通り、何が正解・不正解はありません。それでも、今回のベルト・革には良くマッチしたコバ仕上げに成っていると信じています。

 

剣先はまるく抜き、ここもコバは始末しています。

革を外表に張り合わせステッチで止めています。

 

上から、Black/Brown/Russetになります。

 

How to make

作業工程を一部ご紹介します。まずは、ベルト屋さんに仕事を依頼する前段階から。

革を購入してから、その革に合ったコバ磨きは何が良いのか、試作してみます。

色を入れた方が良いのか、入れない方が良いのか。フノリ・蜜蝋はどのタイミング(乾いてから?乾く前?)、蜜蝋と松脂の混ぜ具合は?、蝋も蜜蝋意外いろいろと種類があるので、複数種類を試してみます。

 

これが、コバ磨き工程で使うバフ機です。

私などは、豆鉋を上手く使えないので、このようなバフ機やヤスリの付いたバフ機を落としに使ったり、フノリ・蜜蝋を縫った後の磨きに使ったりします。

一口に「磨く」といっても、フノリを縫って乾いて?乾く前?蜜蝋はすぐ塗る?一度磨いてから? こうやってフローチャートにしていくと単純な工程でも組み合わせは無限と呼べるほどになります。

結局は、一つづつ試してみて、自分の作りたい製品、使う革にベストだなと「思える」方法を探します。

「思える」と書いたのは、正解がないからです。

たとえば、製品の印象をラフにするため、繊維のしまった硬い革を薬品を使わずにヘリを落としてバフで磨いただけ、これもありだと思います。

 

これは蜜蝋と松脂を溶かしているところです。

蜜蝋だけだと、モロすぎる・やわらかすぎるので撥水性のある松脂を一緒に溶かすのですが、これが溶かす→固まるの間ぐるぐると混ぜていないと分離してしまいます。

そもそも、コバの仕上げは、革が繊維質で切っただけではぼそぼそが出てしまうので、それを止めるために行う作業です。

フノリ・CRCなど、いわゆる水溶性のノリのようなもので固め、さらにはっ水性と輝きを得るために蜜蝋・松脂や、蜜蝋以外の蝋を塗りこみ磨きます。

もっと、簡単にニスのようなものを塗る場合もありますが、私はクラシカルな方法・風合いが好きなので、フノリと蜜蝋・松脂ミックスで行いました。

ほぼ溶け切ったところ。

蜜蝋はもともと蝋ですので、それほどでもないですが、鉱物のような松脂が完全に溶けきってしまうのは初め驚きました。

ぐるぐると混ぜながら、冷え固めさせていきます。

これを持って、いよいよベルト屋さんへ出発です。

秘密な部分も多いので、写真は1枚だけ。

サンプルの革にコバ仕上げをしてみているところです。

自分で、コバに塗る薬品も持って行ってみたのですが(後ろに写っていて、レザークラフトやる方にはお馴染みのメーカーです)、これでは色が落ちそうでした。

さすが、長年ベルトだけを作られているだけあり、クレームが発生する部分がわかっています。コバを仕上げして、しばらく置いてから、水を含ませた布でこすってみます。そこまでの、悪環境には中々なりませんが、あえてそういう環境でも落ちないインクを選んで使ってもらいました。

それが、どこのメーカーのインクか・・・これは秘密でした。

このサンプル革で、革を表から裁つか、裏から裁つか、抜き型を使うか、裁断機を使うかなど、革のコバ面の丸まり具合を見て決めます。

なので、革に「表機械」とか書いてあります。

ここで、仕様を決め、自分で作ってきたサンプルも見てもらいながら実際の革でサンプル作りに入ります。

ここから先は、ひたすら「コミュニケーション」の世界。自分がやりたいこと、また試してみた事を話し、それに対して長年作っている方の意見を聞き、取り入れる部分、あえて私のやり方を通してほしい部分をすり合わせます。

実際、1stサンプルが出来た時は、コバが少し曇っているというか、白みがかったいる雰囲気がありました。それも、2ndでは修正される。どうやって修正したのかはやはり「秘密」でした。

自分は今まで、製造工程のほとんどを目で見て・理解してという物作りをしてきました。今回、本格的に「メーカーさん」に依頼するにあたり、やはり、自分で出来る限り試作をしてみて、コミュニケーションを取る事で、自分のやりたいことを理解してもらう大事さがわかりました。その結果出来上がった今回のベルトに満足しています。

ただ、これからも使ってみてわかる事、その時々で自分が欲しいと思えるものも変わってくると思います。そのあたりを常に変化させながら、作り続けて行ければと思います。

 

 


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