縫製・裁断から下準備

毎度おなじみ、ファーストサンプル作りです。

今回、ジーンズは初めてなのでいつもように自分でファーストサンプル作りです。

ファーストサンプルといっても、今回作るまでにそれこそ、数えられないぐらいジーンズは試行錯誤して作ってきましたので、仕様は頭に叩き込まれています。

問題は、どの仕様を使うか。

ジーンズのオリジネーターを頭の片隅に置きながらも、もう少しワークウェアらしさを残したものを考えました。

 

まずは裁断です。

ミミ使いをするため、型入れはこの方法しかありません。

今回、サイズによって価格が違う理由は、ウェストが大きいとこのように型が打てないため、よりたくさんの生地が必要になるからです。

 

コインポケットもやはりミミ使いです。
型紙をあて手ノミで切っていきます。

次にミシン倉庫へ向かいます。画像は少し加工してあります。

今回、ジーンズという事で工程ごとにミシンを使い分けます。

もちろん、それをせずとも似たものは作れるのですが、やはり私にとってジーンズの持ち味は、それぞれの工程用のミシンで縫われることにより、結果としてジーンズらしさが表れてくる事がとても大事です。

奥まで並んでいる中から必要なミシンを引っ張り出します。

という事で引っ張り出してきた二台です。

太番手用の平ミシン、ボビンが太い糸をたくさん巻けるように大釜になっているミシン。

もう一台は平ミシンの2本針です。ポケット口、後ろ当て布つけに使います。

次に糸の準備です。

仕様書も後々は展開図を書きますが、この段階では自分がわかりさえすればよいので

「平ミシンは○○、番手は上何番/下何番、運針は3センチ間12」

などというように、各工程のミシンに使用する糸の種類、目数をメモしたものです。

さらに、ほぼ似た仕様で以前作ったファーストの前、テストサンプルも手元に置いてスタートです。

 

前ポケット

まずは前ポケットから。

久しぶりにジーンズの縫製なのでこの段階ではワクワクしています。

身頃・スレーキ・向こう布・コインポケットです。

向こう布には後々止めつける部分に印をいれておきます。

まずはポケット口。

この折り方も諸説ありますが、典型的なミルトングランボーン的な折り方でいきます。

 

向こう布をスレーキ布にとめつけます。

今回はジーンズなので角もしっかりだしています。

コインポケットは一筆書きのようにつけていきます。

ちょうど、上から入って折り返してまた上に戻るです。

角を軽く丸みに縫っていますが、このあたりは縫い手の癖の世界です。

次にポケット口、スレーキと身頃を地縫いします。
これをアイロン台へ持っていき・・・
 

口を割ります。

割らない人、そもそもアイロンを使わない人、切り込みを入れる人、いろいろ居ますし、これが正解ということはありません。

 

さらに押さえて、縫い代をしっかりかえします。

若干切りカマも入れて、ポケット口が外に向かってひっくりかえらないように気をつけます。

二本針平ミシンに移動してポケット口縫いです。

上糸がイエロー、下糸はオレンジ系の20/30を使っています。

上下、糸色を変えるにも諸説あるのですが、一理あるのが「目調子を見るため」です。

裏側の目調子が強すぎると、表側にイエローの糸がプツプツと見えてしまうため、目調子を取る目安になるという説です。

実物も様々な糸使いがあるので「これが正解」はないのですが、今回は無理なくできる仕様であるため、イエロー/オレンジの組み合わせです。

次にポケットの底を地縫いします。
これをひっくり返して・・・
 
押さえステッチです。

最後は縫い代を止めます。

これをどの位置に止めるかで、脇の長さもウェストの大きさも、いかようにも変わってしまうので、最初に必ず印をつけておきます。

借り止め終了、これで前ポケットは完成です。

 

小股

次は小股、前身頃のフロントのボタンの一番下より下の左右縫い合わせ部分です。

今回は通称「ニセ巻き」と呼ばれる仕様です。

まずは下前(右前側)から。

縫い代を反転させるための切りカマを入れます。

日本では、切りカマ=ボソが出る(断ち切りが出そうになる)でとにかく嫌われますが、昔のジーンズは平気で入れていることが多いです。

実際、カットオフのビンテージを解体もしてみましたが、見事、うまく切りカマが入っていました。

入れすぎると後々寸法にヒズミが出てタックになったり、本当に穴があいたりするのでコツが要ります。

それを地縫いします。

ここから先は典型的なジーンズの場合太番手、二本針平ミシンなどを使いますが、あえてそれらは使わず、通常の20/30平ミシン一台で一気に仕上げます。

太すぎない糸をめり込ませる事により強度を出そうとする試みです。

次にロックです。

このときは細幅ロックを使いましたが、セカンドサンプルおよび量産ではもう少しカガリ幅の広いロックを使います。

品質面と、目標にする年代に合わせるため、さらに出来上がったときに他の部分のミシンの使い分け具合とこの細ロックがどうもマッチしていなかったからです。

ロックをかけ終わりました
小股部分、縫い代を逆側に倒して捨てミシンします。
断ち切りが見えなくなっています。

ここで左前、上前側にとりかかります。

こちらも、ほぼ同じ位置に切りカマを入れ、まずは前端を三巻します。

三巻して縫いはずします。

トラウザーやLeeなどでは見返し仕様も多いですが、典型的なジーンズといえばシンプルさの追求。

このあたり、仕様を決めた人のその時々の考え方の問題でもあるのですが。

私自身は見返し始末が好きなのですが、13.5オンスでそれをやると、ちょっと厚みが増しすぎてわざとらしい感じもします。

そこで今回はシンプルに三巻にしました。

ここにあらかじめボタンホールをあけ、ロックをかけたヒヨクを置きます。

そして、ヒヨクつけステッチです。

ロックの際を狙ってミシンをかけていきます。

表には裏目が出るので、ステッチは沈み込んだようになります。

ビンテージの、あるところは太かったり、あるところは細かったりという、糸の表情はこのような、縫製工程の都合が結果としてデザインになっているからです。

50年代の典型的なジーンズであれば、二本針で行くところですが、そこはあえて、20-30年代の風合いを残したく1本針二度縫いです。

ステッチの入り口側が細く、徐々に押さえ金の幅程度になっていきます。

今ではきれいさを重視するあまり、表から、それもステッチの型を色鉛筆で描いて縫う場合も多いですが、それではフロントに表目ばかりになってしまい、ビンテージ独特の風合いは消えてしまうように思います。

私が表現したいのは、ビンテージでいかにもありそうな縫製仕様、結果それがありそうなデザイン、風合いになることなので、裏から行くべきところは裏から縫います。

いよいよ左右をつなげます。

持ち出し側、押さえステッチを縫って行きます。

切りカマまで来たら、逆側の身頃を乗せてそのまま地縫いします。

ここだけは目検討、全く縫い代が見えないところを縫うため経験が勝負です。

最初ジーンズを作り始めたころ、何度ここまで来て挫折したことか・・・思い出します。

地縫いを開いて、表から4回ステッチをかけます。

このあたりはワークウェアの影響を強く受けています。

 


 

How to make them?

織り
革ラベル
縫製1 縫製2

 

Lineup-ラインナップ
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Lot808
   
Blue White
Blue Stripe Pink Stripe

 


Detail-Before Washing

各部詳細

     
   

 

Detail-After Washing

各部詳細 ワンウォッシュ後
履き込みサンプルとの比較

  

The Looks.

 

 

 


 

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