広すぎず、細すぎず、「ザ中庸」を目指しているラペル。羽襟もラペルに合わせて、大きくも小さくもなくを目指した結果、人が着ると・・・

どうでしょう？個人的には、バランスが良いと思います。

20そこそこ、自分でテーラードジャケットを見たとき感じたのが「前の三角（ラペルの事）が大きかったり、細かったり色々あるんだな」という事。Y'sなんか、当時は比較的太かったような。ラルフも太く感じました。確か、Y'sのスーツと、オムプリュスの97年バイアスの時の上着だけだったかな？そのあたりが、いわゆる「テーラードジャケット」を着た最初の思い出です。「似合わなんな」と思い、社会人になり、縫製工場に勤めたこともあり着なくなりました。

で、30ぐらいになると、最初古着のブルックス・サウスウィックから始まり、「結局体には合わん」という事で、テーラーケイドに行ったのが今から20年ほど前。

「下にジーンズが履ける中庸な紺のネイビーブレザー」を作ってもらいました。お金が無いからスーツで買えなかったのが泣かせます。（のちに下も作りました）

既製品だと、トムブラウンが出てきて、何もかも細い。あれに最初は「かっこいい！！」となったわけです。トラッドのフィット感とは違う。フィットだけでなく、ラペルも細いし。他にも、Engineered GarmentsのAndover Jacketや、ボリオリのジャケットを何とか海外から買って自分サイズ探してみたり。その後も、ケイドから独立されたテーラーグランドさんで何着か作ってもらったり、大阪のコチネッラさんで「ザ・イタリア」的なフォルムを試したり。最近は、神戸のIJI Unitさんの型紙が好きです。

で、いろいろ試した結果「自分が好きなのはこのぐらいかなぁ」という最終バランスがこのLounge Jacket」の襟型なのです。

背中心は巻き縫い、ダブルステッチ。この辺りは、私の身の回りの工場さんの縫製設備を活かして。お願いしている工場さんは「ドレスよりのカジュアル」が得意なので、巻き縫いもできつつ、襟の割り付けも得意。すごく珍しい工場さんです。

トップのフラワーホールは実際に穴が開いていて、逆側にボタンもついています。寒いなとか、風が・・・なんて時には上まで閉じることもできます。

襟裏、ステッチが入っている部分が襟の返り線。ここは中にテープを吊り気味にたたいています。このテープが戻る力でうまく襟が返る・・・と言われています。確かに、テープたたくと、襟の折り目がはっきりします。ここも、襟腰まで毛芯をたたいてみたり、返り線をつまみ縫いしてみたこともあります（これは、テーラーグランドさんの職人さんがされていたので真似てみました）

色々やってみて、それこそ、いろいろ解体して。硬くなりすぎず、かといって、襟腰のしゃっきり感がある程度出てほしい。そして当然、私の作るもものの価格帯・工場さんで出来る範囲で最大、効果があるのは何か・・・と悩んで、今はこの仕様です。