MFG Shirt

ボタンは高瀬貝の二つ孔、いわゆる「キャッツアイ」とか「ネコ目」と呼ばれる彫りが入ったもの。古いワークシャツはメタルより貝ボタンのイメージがあるので、貝を選びました。

 

ベンチレーションホールはおなじみ「本菊穴」。詳しくはこちらをご覧ください。今では当たり前にしている仕様ですが、できるまで紆余曲折ありました。アメリカ西海岸から届いたミシンの中身が全然なかった時には頭抱えたのが昨日のようです。

 

このシャツが「ワークウェアが究極まで進化した時代」と感じるのがこういった部分。袖口の開きまで多本針環縫い+ラッパ(金具)で始末しています。これは、服を何とか形にするというレベルから、いかに大量に作るか、それも機械式のミシンの生産効率&状態を極限まで高めつつが感じられる部分なのです。
常識的に考えると、針が増えれば増えるほど調整はそれぞれ必要です。バイクに乗る方ならわかると思います。2018年現在、四気筒250CCがほぼ絶滅していますね。機能以上に、メンテナンス性、その機械自体を作るコストを考えると、気筒数を減らしたわけです。ミシンや仕様も同じで、ダブルステッチよりはトリプルステッチ、二本針環縫いよりは四本針のほうが、確かに若干機能性が高いが、それ以上にミシンのセッティング、設備と手間がかかります。その手間を受け入れられるぐらい、作る量があり、また、他社との競争も激しかった。 一口に「究極まで進化」と言っても、それは単純に物がどうこうだけではなく、当時の状況がそこまで、製品、メーカーを追い込んで行ったとも考えられます。

 

脇はマチ使い。オリジナルにはまずないのですが、環縫いほつれ止めのカンヌキは追加しています。

 

上前・下前ともに環縫い多本針ミシン。このミシンは素晴らしく、現代でも昔とほぼ同じ(さらに、下ルーパーの部分は糸が通しやすいよう改良されている)物が作られています。
数年前、新品を購入して目数が細かくなるように改造した一台、これを工場に提供して作っている部分です。ここが細かなステッチ、かつ3/16インチの針幅が私はどうしても好きなのです。その仕様を、きれいにやろうとするとどうしてもミシンを「追い込む」ようにセッティングせざるを得ない。
何番の糸、何針で縫うというのを繰り返さないときれいにならないのです。ある日は太い糸、ある日は細い糸では、セッティングが追い付かない。追い付いた頃には縫い終わってしまう。以前、縫っていた工場ではどうしても、その日その日でミシンセッティングが大きく違う。
その状況が許せなくて、新品で専用のミシンを購入しました。

当時は「年間2-300枚縫うのに、50万するミシンを買って、何年たっても元が取れないだろう」と回りからは言われました。もちろん、採算は考えないといけないのですが、それでもどうしても、ここはこう縫いたいという気持ちが勝って導入しました。おかげで、夜寝るときに「あの部分がダメなんだよな・・・」と悩まず良く寝られます。
服作ってると、良くできた部分以上に「ここがもう少しこうすればよかった」「こうならないかな」と、本当に寝るときに頭に浮かぶのです。ある意味、好きなものを仕事にしてしまった強迫観念ですが、それがうまくできるようになった時の喜びは、時に採算という考え方とは別次元にあります。

 

 

 無題ドキュメント
   
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