コートらしいシルエット・袖形状を求めて

 

今回、型紙の作成にあたり、コートらしい袖の形状を模索しました。

以前のLot200とLot201を比べていただくと良くわかるように、私の作る型紙には、

・真正面から見て意図的に袖先を中心に、身頃に寄ってくるように
・真横から見て前に

ふるように設計しているものがあります。

今回のコートもそうで、その目的は、人間の腕のカーブ形状に近づけることにより、ハンガーに吊ってあっても、また実際に着たときにも、できるだけ自然な美しいシルエットを目指すためです

上の比較でもわかるように、N-1には、それとはまた違った設計思想が感じられます。

比較的まっすぐな袖、袖先は身頃から離れています。ただ、袖自体は山が低く、袖底がマチのようにあげるという独特な型紙であるため、着やすい型紙です。

このあたりは、そもそも作る洋服の用途・目的によりシルエット、ひいては型紙、機能性に違いがあります。

 

 

横から見るとさらに良くわかります。

コートは高い袖山、N-1と比べれば細い袖、袖山位置から垂線を下ろすとかなり袖先は前に振っています。

一方でN-1は太い袖、袖先の前ふり少なくストレートな形状です。

 

 

お手本、仮縫い、ファーストサンプル

私の作る服には、ほとんどすべて「お手本」とも呼べるものがあります。

もちろん、それを単純にコピーするわけではなく、さまざまな修正が入るのですが、今回はご覧のコートがお手本です。

まずは、このイメージを頭に描きつつ、型紙を作成し、仮縫いを行います。

このお手本は、ビンテージにしてはとてもタイトで肩周り以外は、現代の人が着ても違和感を感じづらいシルエットです。

 

仮縫い(実は二度目です)は実際に近いグログランの生地と、イメージしやすいようにフェイクファーを使って行いました。

この段階では、ショート丈にアレンジすることを考えていたため、ボタンの位置が最終サンプルと全く違います。

そのため、フロントの開き具合も違い、結果襟がとても小さく見えます。

第二ボタン(上から二番目のボタン)を下げればよいのですが、それでは服としてのイメージが全く変わってしまうので、再度、着丈をお手本であるコートに近づけて型紙を修正し、ファーストサンプル作製に入っていきます。

 

左はファーストサンプルです。

一度、ボタンをつけたのですが、他の工程をやり直すためにとってしまっています。

 

最終サンプルとほとんど同じに見えますが、左袖を一度取り去って身頃・袖山を修正、つけ直しています。

そのため、右と左で袖山・袖カーブの形状が違います。

ほとんどわからないところなのですが、実際に着て、鏡の前に立ち、また、他の人に着てもらって気になる部分の修正を繰り返します。

やはり、仮縫いでは見えてこない、裏地と表地のバランスによるシルエットの変化、縫ってみて初めてわかる始末の問題などをこのファーストサンプルで、実際に自分で縫ってみながら修正します。

実際、他にも、袖先リブの留めつけ方も、お手本であるコートは断ち切りのリブを袖の中にグルリとたたきつけている始末で、それを参考に作ってみたのですが、どうにも綺麗に仕上がりません。

そこで、袖先はN-1デッキジャケットを参考に、裏地/袖先裏/リブのサンドイッチ構造に変えて作り直したりしています。

途中途中、気になる部分があればすぐに型紙の修正→裁断しなおしなので、1着作るのにもなかなか時間がかかります。

しかし、ここで問題を洗い出しておくと、次のセカンドサンプル、工場での縫製の際に様々な「勘どころ」を具体的に伝えることができます。

なので、できる限り、自分で作るファーストサンプル、特に初めて作るアイテムの時には欠かさず行うようにしています。

 


 

How to make them?
製造工程紹介

 

Lineup-ラインナップ
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Lot10 Sheep Collar Coat

 


Detail-各部詳細

 

 

The Looks.
ボディに着せてみたシルエット

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