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バックに入ったチェーン刺繍です。
特徴は、本物のチェーンステッチを使った刺繍であること。今では、「チェーン風」と呼ばれる、本当に環縫いではない刺繍がほとんどです。
というのも、本物チェーンは針が太いので生地をいためやすい、縫い終わりをいちいち結んで始末が必要で手間、そういった理由から廃れていって今ではやっている工場も少なくなっています。今回も本当は刺繍も綿糸でやりたかったところなのですが、残念ながらアクリル糸になったのは、工場さんから泣きが入ったからです。どうしても、今セッティングされている状態では綿糸が上手くからまずチェーンができませんでした。
さすがに「わかりました、ミシンのセッティングを変えてもらって一年中私の製品で稼動させます」とはいえないので、上手く糸が絡む中で一番色合いの近い、アクリル糸を選んでもらったわけです。その甲斐あって、見た目にはかなりオリジナルに近いもの になっています。でもまったく同じではありません。昔のものは、おそらく、コンピュータによる型を使わず、フリーハンドのチェーンステッチミシンを使っているからです。
今でも、無いことは無いのですが、やはり人の手によるものなので仕上がりに差がある、納期がまったく読めない、納期=時間なのでコストもさらにかかる、といった理由から今回は見送りました。
物を作る、それも昔の製品をお手本にしながら作るのはいつもこんな作業の繰り返しです。
昔と同じにしようと思うと、私の企画の仕方、販売の仕方では無理があるケースも多々あります。ロットが足らない、納期が読めない、理由はいろいろあります。そんなときには、それでもあえて同じ物を貫き通す(Wabashの100%インディゴ染め、銅活版による抜染や、ツールバッグのリベットセッターなどはこのケースです)、よく似た違う方法を取る(今回のシャツがこれです)、あきらめて企画自体をやめる(多々あります)こともあります。
すんなりできてしまえば簡単ですが、悩むのも作ることの楽しさの一つと思っています。
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