さらにワークウェアの名残がこの部分。
クロッチリベット、小股の押さえを4本に、そして前立て縫いのダブルステッチはあえて1本針で二回縫っています。
気持ちは「50年代に入って巻きも、太番手ミシンも、二本針平ミシンも、帯びつけも工場に導入された。でも小股、前立て縫いだけは昔の方法で続けたい」という、どこかの工場長のような気持ちです。
強度面でも、この小股を太い糸、たとえば6番や0番で縫うと糸自体は強いのですが摩擦に弱いという弱点も出てきます。
また太い糸は若干撚りが甘い傾向があります。
そこで、小股を地縫いしたうえで4回縫う、それも目調子をギリギリまで強くして生地にめり込ませつつ目数も増やす、という太い糸とは違うアプローチで強度をだそうとしているのです。
さらに、開きどまりには今回新しく作った打ち抜きリベット、それもハンマーでたたきつけてカシメを効かせています。 |